この所、健康管理に開発の焦点をあわせているように見えるAppleの戦略の中で、これは素晴らしいと思ったのが、AirPods Pro2が補聴器代わりに使えるという新機能。
iPhoneのOSを18.1以上にあげて、AirPods Pro2も最新のファームウエアにアップデートすることによって利用可能になる。
AirPods Pro2を耳に装着してヒアリングチェックを実行すると、難聴の具合がどれくらいかが折れ線グラフで表示される。このチェックは僕も何度も経験したことがあるが、耳鼻咽喉科で行うテストとまったく同じだ。
補助機能を使うという選択をすると、音量はどのくらい増幅するか、左右のバランスはどのぐらいか、音色は暗くするか明るくするか、会話以外の環境音をどのぐらい減らすかなどを設定することができる。
設定が終わって、AirPods Pro2の外部音取り込み状態で生活してみると、いかに普段、音が聞こえていないかに驚く。
例えば朝、キッチンでは換気扇が回り、シンクには水が流れ、テレビが朝のニュース番組を流している。この状態で家族の会話はかなり困難だ。聞き漏れ、聞き違いが多数発生して、まるでお年寄りに扮したドリフのコントみたいな状態になることもしばしば。
ところが補助機能をオンにしたAirPods Pro2を耳に当てると、テレビのアナウンサーの喋りは一字一句すべて聞き取れるし、家族の会話も聞き返すことはほとんど無い。素晴らしい。
問題点は音が聞こえすぎて少々うるさいことと、時々軽いハウリングっぽいノイズが聞こえる時があること、イヤーチップのシリコンが僕の肌には合わないらしく、10分もするとちょっと耳ががゆくなってしまう事だ。
だから自分の仕事部屋に移動する時にはAirPods Pro2は外す。またリビングでテレビを付けながら会話をする時に、必要だなと思えば装着する。
実は補聴器というのはかなり曖昧かつ高額なビジネスだと、ネットの記事で読んだ。聞こえ方の改善具合は耳に付けている本人しか分からないので、これで良いのだと思えば完成品となって購入するが、高額なものになると、片耳で50万円なんていうものもある。
これがAirPods Proで代わりができてしまうとなると、補聴器ビジネスというのはかなり大変なことになるかも知れない。それに補聴器を付けているというのは、いかにもお年寄りっぽくて「見てくれ」が悪いのだが、AirPods Proを付けているのであれば、ごく一般的な見た目なので、コンプレックスもあまり無い。
どうやらAppleはどんどん医療関係ビジネスに踏み込んでいるようなので、今後も健康維持を狙った商品や機能の開発に期待したいところだ。
2024年12月16日