
僕は2025年の3月からテスラのモデル3というEVに乗っている。古くからの友人が3年近く前にこの車の一世代前の車種に乗っており、一度助手席に乗せてもらったことがある。その時にある程度説明を受けたのだが、普通の車に比べて多くの車載カメラを搭載しており、それを使って将来は完全自動運転も可能になるだろうと教えてくれた。当時はまだ日本の国土交通省がなかなか許可しないだろうけれど、と語っていた。
それにしても自動運転は興味深い。僕も還暦を過ぎて、我ながらとっさの緊急時における反射神経、運動神経、判断能力というものに、若い頃のような自信がなくなってきていた。それが今後は進む一方なのだろう。だから僕は「不注意」というものがあり得ないはずのコンピュータ制御自動運転に多大な期待をしている。というわけで、今から約1年前にテスラに乗り換えてみたのである。
EVのレビューというとネットにおける評価はほぼ同じ傾向になるようだ。「車そのものの価格が高い」「充電に時間がかかるので急ぐ時に困る」「充電設備が見つからない場所でバッテリーが切れたら大変だ」「車重が思いからタイヤの摩耗が早い」などなど。
それに対してEVならではのメリットというのはなかなか語られないように感じられる。
そこで僕がテスラのモデル3に1年乗ってみて、何を感じたのかをちょっと書いてみようと思う。まず、長所について。これはエンジンの振動が無いということが最も大きい。もはや自動車ではなく、別の乗り物に乗っている感覚がある。例えて言えば宇宙船だろうか。わかりやすく言うと、静かに滑って動く個人部屋という感じだ。アイドリングストップ機能が搭載されている車に乗った経験のある人ならば分かると思うが、信号で停止した時にエンジンが止まれば急に静かで快適になる。信号が変わって走り出すためにブレーキから足を離すと、エンジンが始動して振動が体に伝わり、エンジン音も聞こえる。これがEVだとアイドリングストップのままスルスルと静かに動く感覚だ。そして突発的に急停止する以外は運転中にブレーキペダルは踏むことはない。テスラはワンペダル走行なので、アクセルペダルから足を離せば減速してやがて完全に停止する。その際、人間のもっとも丁寧なブレーキ操作よりもショックを感じないほどゆるやかに停まる。つまり車に乗っていて前後にGがかかって頭が前や後ろに持っていかれる事が皆無なのだ。この威力は絶大で、長距離を運転してもほとんど疲労感が無い。
2つめのメリットはエンジンを始動しなくても車内のエアコンが使えるということだ。つまり暑い夏や凍えるように寒い冬、自分が乗車する5分くらい前に紐付けしてあるスマホでエアコンをオンにすれば、夏なら涼しい、冬なら暖かい車内に入ることができる。テスラは自分のスマホが鍵となるので、スマホ(僕の場合はiPhone)を持って近づけばドアロックは解除されるし、スマホを持って降りれば何もしなくてもドアは自動でロックされる。
3つめはガソリンの匂いをかがなくて済むというのも嬉しい。僕はそれほどガソリン臭が嫌いというわけではないが、かがなくて良いならそれに越したことはない。

さて、短所を挙げてみよう。充電時間の問題だが、国内にあるスーパーチャージャーという充電器を使うことができるのなら、充電はほとんどストレスなく行える。スーパーや道の駅などに設置してあることが多いので、小一時間買い物をしていれば、バッテリーはフル充電可能だ。僕が選んだのはバッテリー容量の大きいロングレンジというモデルなので、関東のドライブならフル充電でスタートすれば、楽に往復可能である。ただ、自宅にも200vの充電設備を設けたのだが、これで充電すると、残量によっては90%くらいまで貯めるのにまる1日かかる。充電したまま家の電子レンジやオーブントースターを使うとブレーカーが落ちるので気をつけている。
よく言われる価格が高いという問題はどうか。これは補助金という制度があり、登録すれば3ヶ月ほどで支給される。僕は東京に住んでいるので、国の補助金と東京都の補助金の2つがあり、ふたつ足せば160万円ほど返ってくる。これが2026年度からはさらに40万円上乗せで返ってくる!。だから思っているよりかは高くはないと言える。ただ、この手続きは購入者自らがネットで行わなければならない。普通はディーラーがやってくれて、ここにサインするだけですとか言ってくれそうなものだが、そういう部分においては、テスラはかなりドライな対応である。まあ、ドライと言えば、納車時は有明のデリバリーセンターに取りにいかないといけないというのも最初は信じられなかった。将来は自動運転機能によって無人で家まで来てくれるかもしれないから、それは冗談じゃなく期待したいものだ。
北海道のような極寒の地ではどうなのかは残念ながら分からない。車重がガソリン車よりも重たいからタイヤが減りやすいというのも、まだ1年目なので実感としては分からない。
ただタイヤの空気圧に関しては困ったことが起きた。昨年末ぐらいにディスプレイ画面にオレンジ色のタイヤマークが表示されるのだ。何かのサインかなと思ってタップしてみると、空気圧が減ってきていますという注意だった。適正値が2.9なのだが、2.7や2.6になっている。今までだったらスタンドでガソリンを入れる時にタイヤの空気圧も見てほしいと言えばそれで済んだのだが、なんたってEV、スタンドに用はないのだ。なんとなく空気圧だけ見てくれとも言いづらいなと思って、洗車を頼んだ。ついでに空気圧も見てくれと添えた。
後から知ったが、テスラのサービスルーム(我が家は車で15分ぐらいの所にある)でも空気圧の調整は可能だとのこと。
結果として、もしもあと一度人生最後の車を買い替えるとしたら、ガソリン車には戻らない、というか、もう戻れないだろう。そんな快適で心強い相棒である。
2026年4月24日
