
ここ数年、帯状疱疹という言葉をよく聞くようになった。テレビでは帯状疱疹ワクチンのCMを頻繁に見るし、ワイドショーなどでもワクチン接種を勧めるようなことを言っている。
中には新型コロナのワクチン接種による副反応の一つではないのかと疑う人もいる。確かに副反応の事例に「帯状疱疹」という病名は明記されている。そもそも帯状疱疹は50代以上の人がかかると言われているが、ここ数年は10代の患者もいるという。
帯状疱疹というのは神経の病気で独特の痛みやかゆみと共に、身体の右側か左側、どちらかに赤い発疹ができる。病状が進むと発疹はいくつも出来ていくので、写真などで見るとかなりグロテスクである。発疹が出来る箇所は脇腹が一番多く、次に肩から背中、手や足などだ。中には頭や顔に出来る人もいて、この場合は下手をすると失明の危険もあるので深刻である。
僕の場合は右足太ももの内側だった。9月の下旬に、なんか太ももの内側になんとも言えない違和感があり、服がこすれると不快な感じがする程度だった。
その翌日か翌々日から背中に痛みを感じる。ギックリ腰ではない。ギックリ腰だと痛みで完全に動けなくなるものだが、帯状疱疹の場合は動くことはできる。でもこの段階ではその痛みが帯状疱疹で神経から来るものだとは分からないので、湿布薬を貼ったりする。もちろん改善するはずもない。それから数日で太ももに赤い発疹が一つ見つかる。なんだこりゃと思い背中と腰の痛みに耐えて日常生活を送っていると、この発疹が三つ四つと増えていく。この段階で、「あれ、これって噂に聞く帯状疱疹か?」と思い至り、近所の皮膚科クリニックを受診。
医師は太ももを見るなり即座に「帯状疱疹ですな」と冷静なひと言。塗り薬と飲み薬を処方され治療に入る。これが9月30日だった。
1週間ほど経ち、赤い発疹は盛大に広がった後に、少しずつ収まってきた。不思議なことに、噂に聞くような患部の激痛など無かった。夜中に腰や太ももが焼けるような痛みを感じて起きた時に鎮痛剤のカロナールを飲んで寝直したくらいだった。
1週間後に再び皮膚科を受診。実はちょうど受診をする日にもの凄い背中の痛みが始まった。医師にそれを告げると、「帯状疱疹後の神経痛というやつです。これがやっかいで、人によっては長引きます」と言われる。帯状疱疹の特効薬「バルトレックス」は1週間しか使えないので別の薬に切り替わった。
神経痛には苦しめられた。ネットで報告しているような人たちの、「痛みで悶絶した」とか、「鎮痛剤を飲んでも眠れない」というほどのものでは無いにしろ、例えばギターを弾く、ピアノを弾くという気持ちがなかなか起きないほど。
それからまた1週間経過。すっかり患部の太ももは赤みが無くなって正常な肌になってきた。でも腰の神経痛は続いている。日課としている朝と午後の散歩はできるのだが、距離は思いっきり短くなり、途中でベンチに腰掛けて休むほど。
そして治療を始めてから5週間が過ぎた頃、ようやく痛みも和らぎ楽になってきた。長かったな。
帯状疱疹は予防する方法はほぼ無いだろう。周りの友人にも経験者は多い。ワクチンを打てばいいのでは?と考える人もいるかも知れない。でも僕はお勧めしない。なぜなら帯状疱疹予防ワクチンの副反応に「帯状疱疹」と書いてあるからだ。つまりは打ってもかかる人はかかる。それなら高額なワクチン代を払って副反応の高熱や怠さに耐えるよりも、かかったらすぐに皮膚科を受診して治療薬を処方してもらったほうが良いと思うんだけどね。
2025年11月7日
