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No.14 ジェルネイルはギタリストを救う

 クラシックギタリスト、またはクラシックギター愛好家にとって、冬はかなり神経質になる季節だ。というのも空気が乾燥するために爪を傷つけやすい。何かの拍子に簡単にパリンっと根っこから爪をぶっ欠いてしまうなんていう経験をお持ちの方もいるだろう。
 ところが、21世紀のこの時代、もうそんな心配事は過去のものとなる。ネイルサロンで提供されているジェルという人工爪が完全に本物の爪の代用になることが実証されたからだ。
 

 
 
 2007年の12月。私は引越の後始末でうっかり右手薬指の爪をほぼ丸ごとぶっ欠いて無くしてしまった。コンサートは2週間後だ。爪が完全に伸びるまでは約3週間かかる。間に合わない。どうするか。大事な人差し指と中指のほうのコンディションはいいから、出来る限り薬指を使わない運指にしてごまかすか。でもアンサンブルならまだしも、独奏だと無理だ。どうしたって薬指でメロディノートをツマ弾く部分が多い。
 
そんな困っている状況を馴染みのギターショップの店員さんに話していると、「今はネイルスカルプチャという技術があって、ネイルサロンに行けばやってもらえますよ」と教えてもらった。
 

 
 
 私は藁をもすがる思いでネイルクイックというサロンの品川支店に電話予約をして向かってみた。いろいろと調べたり相談したりしてみた結果、ギタリストの押尾コータローという人がやっているスカルプチャはかなり硬質な感じに仕上がるらしい。それに比べてジェルというのは柔らかめだという。ジェルはなおかつハードジェルとソフトジェルというのに分かれており、私はとにかく柔らかめの爪が欲しかったので、ソフトジェルをオーダーしてみた。

 

 
 結果は素晴らしいの一言。あれだけ悩んだり心配していたりしたのが嘘のように美音が出る。実際にジェルネイルの薬指で演奏した音色を聞いてみて欲しい。

 


ジェルネイルでの演奏

 
 

 


本物の爪での演奏

 
 本物の爪との違いは分からないだろう。だって演奏している本人が分からないんだから。というか、私の爪は鷲爪と言って、変な形をしており、ギターで美しい音を出すのはかなり難しい。これだったら返ってソフトジェルで理想的なアーチトップを持つ爪にしたほうが結果的にいい音がでるんじゃないかと思ってしまう。今度薬指よりもひどい形をしている親指を実験にしてやってみようかとも思っている。
 

(2007年12月21日)