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No.6 アルハンブラ研究会発足す!

 2003年11月に「アルハンブラ研究会」なるものをこさえた(笑)。会員は私と千葉のギタリストS氏。まだたったの二人。会の目的は,有名なタレガ作曲の「アルハンブラの想い出」を上手に弾けるようになりたい人のための意見交換。新しいコツを発見したら独り占めしないで積極的に公開しようというもの。つまりは真面目な「日本Sibelius研究会」のようなものではなく,洒落で作ったのだ。ただ,S氏と一緒にコンサートを企画する時には,「主催:アルハンブラ研究会」となる。素晴らしいではないか。
 

 
 
 実は11月の中旬にアルハンブラ研究会初の演奏旅行が行われた。と書くとカッコ良いが,S氏の古い友人が現在豊橋に住んでおり,そこででギターコンサートをやって欲しいという依頼が来たので,私もお呼ばれしたのである。ちょうどこの時期はFinaleユーザーズクラブの大阪ワークショップがある。私はギターを持って大阪に行き,ワークショップが終わったら翌日に豊橋入りしてコンサート。その日は豊橋に宿泊して,翌日も豊橋の喫茶店でミニコンサートを行って帰宅するというスケジュールを立てた。初日のコンサートは成功し,我々(私とS氏と,コンサートを企画した友人のN女史)は豪勢な温泉旅館へとチェックイン。食べきれないほどのご馳走をたいらげる。

 

 私とS氏は根っからのギター馬鹿なので,飲み食いした後に酔っぱらいながらも永遠とギターを弾き続ける。さすがにアルハンブラ研究会である。S氏は変わっていて飲めば飲むほど指は華麗に動くのだ。私は飲んだらてんでダメ。
 
 豊橋2日目の喫茶店でのコンサートは午後に予定されているため,午前中は観光を楽しむ。朝起きてみると,浅瀬に昇る日の出が美しい。

 

 S氏は私のニコン製のデジカメよりも素晴らしいデジカメを持っている。そのカメラで日の出や目の前を縦横無尽に飛び回る鳥を撮影。今時のデジカメはこのような動く被写体でも綺麗に撮れる。
 我々はゆっくり朝食をいただいた後,海沿いをドライブすることにしてみた。
 


 

 

 コンサートのほうはさすがに疲れが出始め,あまり良い出来とは言えなかったがお客さんからアンコールの声。
 
 アルハンブラ研究会としては,やはり「アルハンブラの想い出」を弾かなきゃ。私とS氏はリピートの度に選手交代して二人でアルハンブラの想い出を演奏する。最後のコーダは適当にハモらせたりして遊んでみた。それにしてもはやりこの曲は受けるなあ。どんなにトレモロの調子が悪くても受けるのだ。
 


 
 

 
 
 ところで,「アルハンブラの想い出」はトレモロというギター独特の技術を使った曲としては難易度が非常に高い。これはメロディラインのトレモロに2弦を多用するからだ。2弦をトレモロ奏法する時は指が少しでも大振りすると1弦をひっかけてしまうので気を遣う。特に下の譜例の部分などは正攻法の運指だと弾きづらい。

 

 私は以下のようにローポジションで弾くこともよくやる。

 

 この運指だと3弦の開放弦でソの音を取るので,途中で切れることがなく,非常に雄大な感じが出せる。トレモロも1弦なのでとても楽になるし。この部分は皆さん悩んでいるようで,下のような運指で弾く人も多い。

 
 

 
 

 このような運指にすると伴奏のアルペジオの音があまりブツ切れせずに滑らかになる。トレモロはギターをやっていれば,いつか弾けるようになりたいと思う特殊技術だが,なかなか道は遠い。コツとしては人差し指から薬指までの3本がきちんとコントロールできるかどうかだ。例えば下のようなパターンから練習してみるといいだろう。

 

 トレモロは親指を含めて4つの音というのが基本だが,まず親指を入れずに3本の指で同音を4連打,または3連ができるかどうかだ。この時に親指はどこかの弦に置かずに宙に浮かせるのがミソ。人差し指から薬指に移行する時に間が空いてしまってはよろしくない。最初はゆっくりアポヤンドでやってみて,それからアルアイレにすると良いだろう。次にトレモロをやりながら親指を宙に浮かせたまま3弦から6弦,6弦から3弦へと動かしてみるといい。それでもトレモロは影響されずに途切れず出来ていなければならない。つまりトレモロをやっている指のタッチ(向きや角度)が親指に影響されないように訓練する。ここまで出来ればあとは楽にできるようになるはず。でもこの曲は左手の押さえも難しいのでそっちの練習もしなければならないけどね。

(2004年1月4日)